社長の一枚
~「循環型産業」に取り組む~



当社は砂利業で起業しました。創業当時、神奈川県を流れる相模川からの砂利採取をしていました。所謂「川砂利」、戦後間もない1950年代半ばの事です。戦後日本の復興は、産業構造やインフラにも大きな変化をもたらしました。それまで木造が中心だった住宅は鉄筋コンクリート造が多くなり、鉄道や道路は盛土からコンクリート橋に変わってゆきました。その重要な素材となったのが、生コンクリートや道路基礎の材料となる砕石や砂利です。いずれも日本の河川や山間部から採取し、消費地に輸送されていました。

当社が相模川で採取した砂利は、道路用の路盤材や生コンに使用される骨材として供給されました。当時多摩川や相模川で問題になったのは、上流から流入する土砂より採取する土砂の方が多かった為、河床が大きく低下した事です。場所によっては大きな穴が開いた状態でした。河床低下を防止する為、相模川では1964年川砂利の採取が全面的に禁止されました。多くの同業者が廃業する中、当社は「陸砂利」に活路を見出しました。陸砂利とは河川近辺の遊休地を借地し、砂利を採取し、建設系の発生土で埋めて返却すると言うものです。

この陸砂利も長くは続かず、僅かな業者が「山砕石」へと進出しました。岩石に覆われた山を掘削し、砕石を採取・粉砕し製品として出荷するものです。当社も1980年より神奈川県清川村で山砕石の採取を開始しました。この山砕石の採取業は採石法の下、採取した個所を行政の指導で造成し、植林し、人工林の造林までを含みます。砕石場を見れば自然破壊をしているように見えますが、長い目で見ると山から恩恵を受け、また山に戻すという、「循環型産業」の先駆けなのです。

当社の清川村採石場も20年ほど前に採取を終え、現在は建設発生土を受け入れ造成し、今春からは一部植林を行います。植林は地元森林組合からの指導の下、今後清川村に相応しい林に造林して行きます。

写真は清川村砕石場の現在の状態です。計画値である標高400mまでの造成をほぼ終え、今後は植林作業も多くなります。このように当社は「川砂利」採取から「陸砂利」へ転換し、その後「山砕石」に進出、そして現在は緑豊かな山に戻すべく造成、植林活動をしています。当社の歴史は「循環型産業」の歴史でもあります。

50年後、この地は宮ケ瀬湖を望む、緑豊かな森林に変貌する事でしょう。

東急ジオックス株式会社

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