社長の一枚
~「縁の下の力持ち」~



写真は東急電鉄田園都市線の江田駅です。田園都市線は建設当時、溝の口駅を起点として東急多摩田園都市の開発に合わせ、神奈川県を南西方向に延伸してゆきました。溝の口駅からここ江田駅を通り長津田駅まで延伸したのが1966年半世紀以上前の事です。その頃、渋谷駅から二子玉川園駅(現二子玉川駅)までの地下路線工事も進み、1972年新玉川線が開通しました。長津田駅から終着の中央林間駅まで延伸したのが1984年。この開通で現在の中央林間駅から半蔵門線への直通運転が始まりました。

街づくりの東急は首都圏の城南エリアで東急多摩田園都市構想を掲げ、田園都市線を建設しその駅を核に住みやすい街づくりに取り組んできました。一言で鉄道延伸と言っても多くの施設・設備が必要です。まず電車が通っても沈下しない堅固な路盤を築造しコンクリート枕木・レールを設置、その後、鉄道用の道床バラストを敷設しレールの微妙な高さ調節をする。上空には架線を張り、加えて複雑な信号回路や運転システムを設置し電車は走るのです。

この鉄道に必要な多くの設備・機器の内、当社はレール、道床バラストを供給しています。レールは高炉メーカーから輸送し、道床バラストはその性格上強固な硬度が必要で、大月の採石場から輸送しています。それらの手配や品質証明、納品立ち合いも当社の重要な業務です。レールの納品は道路交通への配慮もあり早朝に行われることが多いので、皆さんが目にすることはほとんどないでしょう。

この写真でもう一つ重要な設備があります。ホームドアです。目的は乗客の線路への転落防止です。全国の多くの鉄道が設置を進めていますが、当社はこのホームドア設置工事の内、スパンクリートの納入を行いました。ホームドアを支えるコンクリート床版です。ホームドア設置には多額の投資が必要ですが、東急電鉄は大手民鉄では初となる東横線、田園都市線、大井町線と言う主要路線での全駅ホームドア設置を2020年に完了しました。東急電鉄は安全の方針で「安全の確保は鉄道事業の最大かつ最重要の責務である」としてお客様の安全確保を経営の最優先の取組としています。

当社の鉄道事業への取組は、レール、道床バラスト、スパンクリート等の納入です。いずれも乗客の皆さんはほとんど意識しないでしょう。当社の鉄道事業・安全への貢献は正に「縁の下の力持ち」なのです。鉄道事業を縁の下から支えていることも当社事業の意義であり、誇りでもあります。最後にこの写真の車両は、東京メトロの車両です。東急の車両を使えばよいと思うでしょう、しかし当社の道床バラストは東京メトロ様をはじめ複数の鉄道会社にも納入しています。当社の顧客は東急グループに限りません。それが当社の発展の源泉でもあります。その東京メトロ様への敬意を込め半蔵門線主力車両の8000系を掲げました。

東京メトロは東急電鉄が中央林間駅に向けて新線を建設していたのに併せ、当時は営団地下鉄として半蔵門線の延伸を進めました。東急・メトロ共に新製車両を導入、メトロ8000系は190両、東急8500系は400両が投入され田園都市線・半蔵門線の主力車両として活躍しました。これらの車両も車齢が40年を超え、引退の時期を迎えています。8500系は本年、8000系は数年のうちに田園都市線から引退します。これら半世紀近く輸送に携わった車両に敬意を表します。
車両は変われど、レール・バラストは永遠の「縁の下の力持ち」

東急ジオックス株式会社

TOP